六月
どこかに美しい村はないか
一日の仕事の終りには一杯の黒麦酒
鍬をたてかけ籠を置き
男も女も大きなジョッキをかたむける
どこか美しい街はないか
食べれる実をつけて街路樹がどこまでも続き
すみれ色した夕暮は若者のやさしいさざめきで満を満ちる
どこか美しい人と人との力はないか
同じ時代をともに生きるしたしさとおかしさとそうして怒りが
鋭い力となってたちあわられる
茨木のり子
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六月
どこかに美しい村はないか
一日の仕事の終りには一杯の黒麦酒
鍬をたてかけ籠を置き
男も女も大きなジョッキをかたむける
どこか美しい街はないか
食べれる実をつけて街路樹がどこまでも続き
すみれ色した夕暮は若者のやさしいさざめきで満を満ちる
どこか美しい人と人との力はないか
同じ時代をともに生きるしたしさとおかしさとそうして怒りが
鋭い力となってたちあわられる
茨木のり子